洗濯物って、不思議ですよね。
同じTシャツを夜に干しても、
カラッと乾く日もあれば、
朝になっても、
「まだ、ちょっと湿ってる・・・。」
って日もある。
同じ“ひと晩”のはずなのに、
空気が違うだけで、
時間の効き方が変わる。
で、これ。
どうやらウイスキーの樽も
かなり似ているらしいんです。
スコットランドでは、
熟成中に毎年だいたい2%ほどが蒸発する
「エンジェルズシェア」があると言われています。
でも、台湾 の カバラン では、
その蒸発量が前者の2〜3倍だと説明されていました。
つまり、
同じ「1年」でも、
どこで眠るかで、
樽の中の進み方は同じじゃない。
樽のほうが、先に時間をくぐっている
ここで、
ちょっと面白い話があります。
シェリー樽の一部は、
スペイン のボデガで
オロロソを12〜18か月ほど入れて
“シーズニング”されてから、
蒸溜所へ運ばれるそうなんです。
ウイスキーが入る前から、
樽のほうが先に
時間をくぐっている。
しかも木の中には、
タンニンやリグニン、
ラクトンやバニリンのような成分があって、
蒸発や酸化といっしょに、
色も香りも味も、
ゆっくり作っていく。
・・・なるほど。
あの琥珀色って、
ただの見た目じゃなくて、
木と空気と時間の履歴書
みたいなものなのかもしれません。
ここで、
前回の疑問が
また顔を出します。
「じゃあ、
その“時間を抱えた樽”って、
どうやって値段が決まるんだろう?」
でも、
ここがまた単純じゃない。
業界団体の説明では、
熟成中のスコッチ樽には、
公開された統一の相場表があるわけでもなく、
株みたいに毎日値段が並ぶ
開かれた市場でもないそうです。
しかも、
保管料、保険料、移動の手間、
瓶詰めの費用や税金まで
後から効いてくる。
現地の広告規制当局も、
樽投資は無規制で、
価値は上がることもあれば
下がることもあると、
きちんと示すよう求めています。
【AGのひとこと】
どうやらこの世界、
「長く寝かせたら高い」
で終わる話ではなさそうです。
年数だけじゃない。
どこの空気で眠ったのか。
どんな前歴の樽なのか。
いま、どこで保管されているのか。
・・・気づけば私、
“何年ものか”より先に、
樽の履歴のほうが
気になり始めています。
普通のハイボールの入口から、
だいぶ変なところまで来た気がします。
次回は、
ウイスキー樽の価値は
何で決まるのか。
年数の向こう側にある、
もう少しディープな話を
のぞいてみようと思います。
AG


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